履歴書は企業が選考するための書類であり、一般に就職や転職活動時に使われます。
人に雇われずに個人で働くフリーランスには、履歴書が必要ないように思われがちですが、実は提出を求められるケースがあります。
一般の会社員が書く履歴書と比べたとき、フリーランスは書き方やポイントが違うため、どうやって書いたらいいか悩んでしまうこともあるのではないでしょうか?
そこで、
フリーランスに履歴書が必要なシーンを知っておきたい…。
履歴書ってどうやって書くんだっけ…?
職務経歴書にフリーランスは何を書いたらいいんだろう…。
という方にわかりやすく説明していきたいと思います!
フリーランス・業務委託で履歴書が必要なケースとは?
最近、「フリーランス」や「業務委託」という言葉を耳にする機会が増えています。
いずれも「会社に所属せず独立して働くこと」をイメージする人が多いのではないでしょうか?
しかし、
「フリーランス」と「業務委託」は違った意味合いを持つ言葉です。
業務委託とは?
業務委託とは、
企業(発注側)がフリーランスなど(受注側)に業務を委託し、
フリーランスがその業務をおこなうことによって報酬を得る契約のことです。
「フリーランス」が働き方や働くスタイルを指す言葉であるのに対し、
「業務委託」は契約形態を指す言葉だと言えます。
さて本題にもどりますが、履歴書が必要になる場面というのはどういう時なのでしょうか?
厳密に言えば、
履歴書というのはその人の経歴やキャリアを確かめるための大切な書類です。
「フリーランスであれば履歴書は必要ない」なんてことはありませんので、いざという時に慌てないよう準備しておきましょう!
フリーランスの履歴書を求められるケースは次のような場合です。↓
- 大企業のクライアントと取引する大口案件や、長期契約案件の受注先から求められた
- 新規案件の業務委託契約を結ぶとき
- 企業(正社員)への転職、Wワークでアルバイトなどをはじめたい
- フリーランス向けのエージェントを利用するとき
1.大手企業案件や、公共機関の案件に一般から応募する際は、
基本的に履歴書の提出を求められることが多いでしょう。
2.業務委託先を募集する側は、
就職や転職と同じように書類選考と面接試験を経て、
複数の応募者のなかから業務委託契約を結ぶフリーランスを選定します。
3.また、「雇用」されるかどうかが鍵になりますので、
フリーランスであっても、就職や副業でアルバイトや社員として働くときは面接で履歴書が必要となるケースが多いです。
4.フリーランスが案件獲得のために活用するのがエージェントサービスなのですが、その登録をする際に職務経歴書などとともに履歴書を提出します。
いずれにせよ、組織の一員として関わり、働くためには履歴を開示し、自分がどういう人物なのかを相手に知ってもらわなければなりません。
いつ履歴書の提示を求められても対応できるよう事前に準備しておきましょう!
採用担当者の目にとまる職務経歴書の書き方とは?
職務経歴書は、採用担当者が見ているポイントを意識して作成することが重要です。
採用担当者の目に止まらない職務経歴書を作ってもうまくいかないので、
履歴書を書く前に以下であらかじめ重要なポイントをチェックしておきましょう!
専門的なスキルや即戦力になることを積極的にアピールする
フリーランスの経歴を書くことで、入社後も「企業の即戦力」として活躍できることだったり、専門的なスキルがあることをアピールすることができます。
これによって他の応募者よりも好印象を与えられるだけでなく、給与の面でも未経験者と比較して、高い金額で採用してもらえる可能性が高くなります。
ですから自分のもっているスキルだったり、アピールポイントとなる部分は積極的に書いていきましょう!
企業との取引実績の記載で、社会的信用を得やすくなる
企業との取引実績を書くことは、社会的信頼性を得やすくなります。
企業はフリーランスを選ぶとき、
人としての信用があるかどうかや中身、スキル面など複数の面から比較して決めます。
転職者を採用する企業側は、いうまでもなく問題を起こすような人を採用したくありませんよね?
そこで役立つのが、
フリーランスが複数の企業と取引していたという証明です。
これが転職先の会社や企業の面接官に安心感を与えるのです。
大企業や知名度の高い企業との取引実績がある場合は、履歴書へ書くようにしましょう!
経歴や経験の記載で、 自己管理・コミュニケーションスキルがあると判断されやすくなる
会社員として働く場合でもアルバイトでも、他部署やチーム、バイト仲間と協力したり円滑なコミュニケーションが求められます。
周囲に合わせて働くための協調性を高めるには自己管理スキルやコミュニケーションスキルが欠かせません。
また、フリーランス期間の長さや受注件数の多さというのも、自己管理能力やコミュニケーションスキルの高さをアピールすることにつながりますよ。
フリーランスが履歴書に記載すべき項目
履歴書には必ず記載する基本情報はこちら
- 氏名
- 生年月日
- 年齢
- 性別
- 現住所
- 連絡先
基本情報として以上の項目は必ず記載します。
氏名や住所のふりがな欄は、
「ふりがな」ならひらがな
「フリガナ」ならカタカナで書きます。
年齢欄には、履歴書を企業に提出する時点での満年齢を記載します。
※ただし、厳密には誕生日の前日に満年齢が加算されますので注意しましょう。
証明写真は、原則として撮影から3ヶ月以内の写真を使用するのがマナーです。
データとして証明写真を提出する場合は、すでにある写真を添付するのではなく、実際に撮影したものを貼付しましょう!
写真のデータサイズは、
「縦560ピクセル × 横420ピクセル」
もしくは、
「縦600ピクセル × 横450ピクセル」とするのが一般的です。
ただし、提出先の企業からサイズの指定をされる場合がありますので、事前に確認しておくのが良いでしょう。
学歴と職歴
履歴書には学歴や職歴を書く欄もあります。
フリーランス以外にも就業経験がある場合は、
[学歴→職歴→フリーランス歴]の順で書きましょう。
履歴書には、
今までの職歴を、開始日と終了日とともに分かりやすく記します!
職歴なのですが、ここではフリーランスとしてどのように事業運営をしてきたのかというのを手短でいいので記載します。
職歴の欄は手短にして、
前述のとおり、「職務経歴書」にフリーランス時代の自分のスキルを書き、存分に経験値をアピールしてください。
資格
資格を取得していれば、履歴書に記入できます。
資格名は、必ず正式名称で記入します。
有効期間がある資格もありますので、
期限が切れていないか事前に確認することが大事です。
また、1級や準1級といった上位の級に合格していると、面接官から話題を振られることがあるでしょう。
一方で3級や初級といった比較的難易度の低い級は、
資格取得していても記入しないほうが無難です。
また、複数あって書き切れない人は、
業務と関係が深い資格や取得するのに難易度が高い資格を優先して書きましょう。
志望動機
- フリーランスとして案件の受注を目指す場合
「スキルを活かして企業にどうやって貢献したいか」を伝えます。
熱意だけではなく、自分のスキルと相手が求める人材のマッチング度の高さをアピールするのがコツです!
成果が出せる伝え方として、実績の中に具体的な数値を盛り込むのが望ましいです。
- 正社員への転職を目指す場合
企業への意欲を感じさせるポジティブな志望動機を作成するのが良いでしょう。
否定的な志望動機は、まず書かないのが無難です。
「入社しても不満があればすぐ辞めてしまう人」という印象を与えますので、
注意しましょう。
自己PR
フリーランスの経験を活かした、自己PRを作成します!
企業の採用担当者やクライアントは、
「即戦力となるスキルを持ち合わせているか?」
「社員と協力して事業に取り組めるか?」に注目するでしょう。
自己PRに有効とされるアピールとして次のようなものがあります。
- コミュニケーション能力
- クライアントの要望に応える能力
- スケジュール管理能力
- 会計能力
ぜひ参考にしてみてください!
フリーランスが履歴書を用意する際の注意すべき点とは?
ここでは、フリーランスが履歴書を用意する際に注意しておきたい点をおさえます!
どれも重要ですので目を通してください。
様式・用紙は指定されている履歴書を使用する
履歴書を準備するときに、
企業から指定されている履歴書の様式・用紙は必ず確認してから入手する必要があります。
厚生労働省が推奨する履歴書のフォーマットがありますが、必ずしもこれを使用する必要はありません。
ただし、オリジナルの履歴書を作成して提出する場合
「書きたくない項目や都合が悪くなる項目を削除しているのでは?」と思う採用担当者もいるので注意が必要ですね。
もし、応募企業などからフォーマット(形式)の指定がある場合はそちらに従います。
どうしても自身がアピールしたい箇所があるとするならば、
アピールしたい欄が広くて多めに書ける履歴書を選んでも良いでしょう。
データ保存しておくと後で困らない!
フリーランスが履歴書を準備する際は、データで扱える形にして保存しておくことがオススメです!
なぜなら、紹介制の会社を利用する場合には、履歴書をメールでやり取りするケースがあるためです。
もうひとつ、データとして保存しておくことでビジネスチャンスを逃さず、
すぐに履歴書を送付できるという点でもメリットがあります。
また、誤字脱字があってもすぐに修正できるのもデータ保存するメリットです。
担当採用者によっては、データの履歴書をみて「PCスキルがある」と判断してもらえるケースがあります。
履歴書の文字のサイズやフォントも意識!
本文は10.5~11ポイント程度がベター
多くの転職者が職務経歴書・履歴書を作成するときは、
10.5~11ポイントを目安にしています。
採用担当者が普段から目にしている文書の文字サイズも同様ですので、
職務経歴書・履歴書に最も適したサイズといえるでしょう。
ただし項目に見出しをつける場合は、
本文のサイズよりも+2ポイントほど文字のサイズを大きくすると良いでしょう。
全体の文字サイズは統一感をもたせて読みやすさを意識しましょう!
標準搭載のフォントを使用する
履歴書・職務経歴書は、企業に提出する公式な書類です。
それだけに、ビジネスシーンにそぐわないフォントを使うよりも、パソコンに標準搭載されている一般的なフォントを使うのが好ましいといえます。
具体的な例として以下のようなフォントがあります。↓
【明朝体】MS明朝(Windows)、ヒラギノ明朝(Mac)
【ゴシック体】メイリオ(Windows)、ヒラギノ角ゴ(Mac)
ほかにも、パソコンに標準搭載されているフォントはたくさんありますよね。
なぜこれらのフォントが好まれるのか?
それは上記のフォントを見てのとおり、メイリオのようなゴシック体は文字が太いため、
履歴書や職務経歴書をすべてゴシック体で書いてしまうと全体が読みにくくなってしまいます。
なのでメイリオのようなゴシック体は、見出しなどで使う程度に納めておきましょう。
しかしビジネスシーンで頻繁に用いられるこれらのフォントであれば、
採用担当者のなじみも強く、違和感なく読みやすいので履歴書・職務経歴書に目を通してもらえるでしょう。
書き損じたら修正液は使用しない
履歴書を書き損じた場合は、修正液や修正テープは使用せず書き直すことがポイントです。
なぜなら、修正したとわかる箇所があると履歴書の信憑性が下がり、
採用担当者からの信頼度が落ちる可能性があります。
履歴書を提出する直前などに間違いに気が付いた場合には、二重線を引き訂正印を押す方法があります。
訂正箇所が2カ所以上ある履歴書を提出すると「注意力が不足している」と捉えられるケースも...
間違いの箇所がいくつもあるなら、書き直した方が賢明でしょう。
フリーランスの職務経歴書の具体的な書き方
個人事業主やフリーランスが職務経歴書を記載するのに、特にフォーマットは決まっていません。
これまで行ったフリーランス時代の事業内容やスキルを具体的にまとめることで、
自分がどのように企業に貢献できる人物なのかみてもらえます。
フリーランスの場合
フリーランスで活動してきた方の場合、
開業届を提出しているのであれば「開業日」を必ず記載しましょう。
そうすることで個人事業主としての活動に信頼が得られるほか、
売上管理や事務処理といった経理面での知識があるという証明にもなります。
職務経歴書の具体例は、以下のとおりです。
20▲▲年▲月 個人事業主として開業 (屋号:●●)フリーランスエンジニアとしてWeb開発・デザイン事業を展開 20▲▲年▲月 一身上の都合により廃業予定 【職務要約】 おもにWebデザイン・コーディングの受託制作を行ってきました。業務を通じて資金繰りや売上管理といった経理業務もこなし、税務関連の知識も一通り身に付けております。 【実績】 ・URL:http://~~~ (株式会社××様) ・範囲:顧客折衝、デザイン企画、外部へのディレクションと工程管理・納品 ・成果:年間●●PV (昨対●●%アップ)、商品売上●●%アップ ・使用スキル:Illustrator、HTMLコーディング、HTML5/CSS3、WordPress |
実績は、携わったクライアントごとに詳細を記載すると採用担当者に業務内容が伝わりやすくなるのでおすすめです!
フリーランスと個人事業主、どちらで記載するのが正解?違いとは何?
個人で活動している場合、「フリーランス」と「個人事業主」のどちらを記載するのが正しいのか悩む方もいるのではないでしょうか?
フリーランスも個人事業主と同様、
企業や団体などと雇用関係がなく、独立して仕事を請け負う人のことをいいます。
では、個人事業主とフリーランス、その定義の違いを説明します。
「フリーランス」は単発の仕事ごとに契約を結び、案件ごとに業務を行う働き方のことをいうのに対し、
「個人事業主」は税務署に開業届を提出しており、法人を設立せずに個人で事業を営んでいるという業務形態を意味します。
「フリーランス」の中に「個人事業主」が含まれるともいえますね。
つまり、フリーランスとして働いている人が税務署に開業届を出すと、税務上「個人事業主」に分類される、ということです。
一般的に「フリーランス」とは、働き方を示す言葉であるため、
職歴には「個人事業主」と記載するのが通例です。
履歴書や職務経歴書などの正式な応募書類には、フリーランスではなく「個人事業主」と記載するように留意しておきましょう!
家業を継いでいた場合
家業を継いでいた場合、職歴欄は「家業である○○業に従事」とするのが一般的です。
また、家業が法人であり、
従業員として勤務しているならば「会社名+入社」という一般的な企業勤めの書き方と同じで問題ありません。
前にも記載しましたが、もし自己PRにつながる資格がある場合、忘れずに記載します。
職務経歴書では、以下をイメージして記載してみてください。
20▲▲年▲月 家業である●●業に従事 営業チームのリーダーとして●●名のマネジメントを経験しました。 既存顧客のフォローや新規顧客開拓を行い、営業利益は昨対●●%アップに成功しております。 20▲▲年▲月 一身上の都合により退職予定 ・保有資格:○○試験(20▲年▲月取得) |
このように職務経歴書を具体的に記載しようとしたとき、まずは徹底的な自己分析が必要となるのです。
自身のスキルや過去の実績をしっかり把握し、言葉で表せるよう準備しておきましょう!
フリーランスの履歴書まとめ
履歴書は、個人情報や職歴を伝えるだけではなく、「人となり」をアピールするための重要な書類です。
フリーランスとして働いている人でも、
就職やWワークで社員やアルバイトとして働いたり業務委託契約を結んだりする際に、履歴書の提出を求められる場合があります。
履歴書には、企業や面接先が求めているスキルがあれば記入し、様式の指示も従うようにしましょう。
だからこそ内容はもちろんのこと、
履歴書の書き方や修正方法を始め、文字サイズなどの見栄えにも配慮する必要があります。
適切な履歴書を丁寧に作成するために本記事の内容を参考に、
ぜひ契約・採用につなげてみてはいかがでしょうか?